冠詞という、日本語にはないもの
英語では名詞を使う時、それがなんなのか、定義するということが非常に重要です。このために限定詞というものがあります。冠詞はこの限定詞に含まれるものになります。
英文ではりんごが登場するなら、「わたしのりんご」「あのりんご」「そのりんご」「それらのりんご」「りんご全般」と言った具合に、そのリンゴをどう定義しているかという説明がセットになって登場するのです。
不定冠詞は、名詞が始まる前にa,anで始まるなら、それが誰のりんごかなど定義づけられてはいないけど、一つのリンゴのことである、と把握することができるものになります。またsome(いくつかの)も不定冠詞として使用されることがあります。
日本の生徒の作文で間違いやすいもの、英語の理解で混乱をきたす部分が冠詞の使い方です。
限定詞の中でも所有格、「わたしのりんご」「彼のりんご」などは日本人の感覚でもはっきりしていますから書き忘れは少ないのですが、日本語では「リンゴ」と書くだけでも間違いではありませんから、aやanはつけ忘れてしまうことが多いんですね。
英語全体を通して常に気を配らなければならないのが、単数形か複数形かで、英語圏の子供たちも、この考え方を子供のころから叩き込まれます。
友人と話していたりSNSで会話をするときであれば、意味が通じればいいのですから、あまり問題にならないかもしれません。ですが、文法を重視する試験ともなるとそうはいきません。ここを間違ってしまって点数を取りこぼしてしまうともったいないので、しっかり学習しましょう。
英語の場合、名詞には、基本的に冠詞がつきますが、以下につかない場合の例をあげてみます。
・apples, carsなど、複数形の場合、もしくは全体的な総称となるもの。Sを付けて複数形とします。
・冠詞が省略される
名詞と名詞がandで結びつけられている。
by 〇〇(によって)と手段として使われている場合。by carなどが分かりやすいですね。
・固有名詞である、商品名、個人名など。これらはすでにそれが何なのか定義されていますので、特例をのぞいて冠詞はつきません
(歴史上の偉大な人物などにはほかの人物と分けるため、Aを付ける場合がある。たとえば物理学者のアインシュタインなどA Einsteinは表記されることもある)
・なんだかわからないもの「space」や、数も量もそれ自体では限定できないもの「cofee」「milk」など。
・動詞的な働きをする名詞
SchoolやHospitalという名詞は学校に行く、病院に行く、という動詞的な意味でも使われますので、その場合、I am going to school.という風に、不定冠詞はつきません。
Baseballも名詞で、野球をする、という動詞的な扱いにもなりますので、その場合は冠詞はつきません。
Dinnerも夕食をする、という扱いの場合冠詞はつきません。
※ただ、限定的なものを表す場合は冠詞がつきます。A french dinnerや、会話の中で学校名が指定された場合のthe schoolなど。
他にも例外を含め、いろいろな用法がありますので、分かりやすく解説している参考書などでしっかり学び、分からないところは指導してくれている方に確認しましょう。なんでこの時はこうなんだろう、なんでケースバイケースなんだ、覚えられない、となってしまいますが、考え方を理解していくことで、覚えやすくなります。
定冠詞theの用法もまた難しい。
単数形と複数形の不定冠詞の使い方もさることながら、theの使い方もまた日本人には悩ましいところです。しかし、こちらも簡単な文章で整理して考えると分かりやすいです。
I have an apple. the apple is red.
わたしはひとつのリンゴを持っています。そのりんごは赤いです。
theは定義されたもの指します。
この場合、わたしが持っているリンゴを指しているわけです。
基本的にtheが必ず付く名詞もあります。
たとえば The sky The sun、など、です。これらはわたしたちにとって基本ひとつしかないものだからです。
しかしこちらも、小説や映画的な表現の中では、他のシーンの空と区別するために、あえてA dark skyなどと形容詞とともに記述されることもありますので、あくまで基本的にです。
こちらには簡単な一例をあげてみましたが、是非興味を持って英語の考え方から冠詞を見つめなおしてみましょう。英語圏の考え方から色々なことが見えてくるのでは。
英語は日本語と違って基本的にあいまいな表現をしない言語ですので、それが単数なのかそれとも限定的なものなのか、ということはとても重要なことになります。
冠詞を忘れなければ取れた点、というのはもったいないので、自分のものにして得点アップを狙いましょう。
受験英語に限ってのテクニカル的な部分もありますので受験英語ならではの難しさでも紹介しているように入試問題に精通しているプロの家庭教師に確認することをお勧めします。